超高齢化社会ともいわれる中、50代はまだまだ人生の半ばです。
お互いがシングルなら、恋愛も結婚も自由です。
50代でも、愛する人と一緒に暮らしたいと思う気持ちは、若者と同じです。
しかし、法律的に籍を入れるとなるとお互いの親戚との付き合いや、子どもたちとの相続の問題が出てきます。
この記事では、当時50歳の私が、パートナーの女性51歳と事実婚という形態で暮らし始めた当初のことと、5年経った現在の思いをお伝えします。
結論から先に言えば、事実婚はかなり社会的にも認められており、今のところ特に不具合はなく、事実婚という選択をしてよかったと思っています。(53歳 会社員)
子どもたちの反対で50代でも結婚できない私たち
私は、娘たちがまだ高校生の時に妻をがんで亡くしました。
娘二人が大学を卒業した50歳で会社を退職し、それまでやっていた株式を中心に投資で収入を得ることにしました。
もともと証券会社に勤めていたこともあり、貯蓄と投資のそれぞれの特徴も理解しており、老後の貯えも娘たちの結婚資金の準備もしていたので、自分の投資の腕を確かめるつもりもありました。
娘たちにそのことを話し「お父さんがもし投資家となって全財産をなくすようなことになっては申し訳ないので、生きているうちに財産分与を考えている」と伝えました。
その時、自分には結婚したい人がいることも話しました。
「できれば籍を入れ、法律的にも夫婦として今後暮らしていきたいと思う」と言いました。
彼女とは同じ会社の同僚で、付きあって3年になり、彼女は30代で離婚し、一人娘はすでに結婚していて孫もいることなど現在の状況もすべて娘たちに打ち明けました。
私たちは、お互いひとり暮らしの気安さから食事を共にしたり飲みに行ったりしているうちに「晩年一緒に暮らせたらいいね」と語り合う仲になったことや、彼女は、今の会社に定年まで勤めたいと言っているので、私は家でパソコンを使って仕事をしながら、彼女をサポートをするつもりであることなど将来のことも伝えました。
私は娘たちが、この結婚をもろ手をげて賛成してくれると思っていました。
ところが実際には猛反対されたのです。
父と母が作った財産をなんであの女にという娘たち
「この家に他人が入るなんて許せない!」と長女が言うと、次女も「この家を建てるためにお母さんは私たちの世話をしながらパートに行ってたのよ。パパは毎日帰りが遅かったから家庭のことは何もわかってないのよ」とすごい剣幕でした。
娘たちにはそれとなく会社の飲み会での彼女の写真を見せていたこともあり、
「なんであんな化粧の濃い女に私たちの思い出の家を乗っ取られないといけないの」
「パパは騙されているのよ。この家だけでなく退職金も貯金も全部取られて捨てられるに違いないわ」
辛らつな言葉が飛びかい、娘たちからは籍を入れるのだけはやめてと言われました。
私は投資家
在職中から副業も兼ねて投資で収入を得ていたこともあり、50歳で退職して娘たちにある程度の金額を贈与して、いずれは自宅は処分し、老後は介護付きマンションに引っ越すつもりでした。
確かに彼女とは仕事を共にしていたので、彼女なりに私の投資家としての腕を見込んでいたのかもしれません。
多少の打算があったとしても、私としてはそれでも彼女と一緒になりたかったのです。
50代からの事実婚という選択
彼女に娘たちが結婚に反対していることを話すと、「お嬢さんたちの気持ちはすごくわかるわ。実は私も法律的な結婚よりも事実婚の方がベターではないかと思っていたの」といったのです。
彼女は私が辞めた会社に定年まで勤めるつもりだったので、今更姓名が変わるのが嫌だったようです。
また、私との再婚がおおぴらになるのも、できれば避けたかったようです。
婚活と終活の同時進行
彼女は彼女なりに自分がもしもの時には、嫁がせたひとり娘に預貯金や保険金を相続させたかったようです。
「あなたのことが好きで一緒に暮らしたいけれど、本当のことを言って夫婦別会計にしてもらった方が気持ち的にはラクなの」
「今回、お嬢さんたちに結婚を反対されてよかったような気がしているわ」
結婚を決めたら入籍するという考えの私にとって、彼女の進歩的な考えは風穴を開けられたような気持ちになりました。
私たちは事実婚を目指して、身辺の整理をすることにしました。
事実婚だと、お互いどちらが先に亡くなってもパートナーの遺産の相続や生命保険の受け取りはできず、子どもたちの取り分になります。
男性に比べて女性は平均寿命が長いので、事実婚の場合は金銭的なホローがしきれないのが気がかりと言えば気がかりでした。
事実婚のメリット
私たちはお互いの娘たちを交えて会食をし、事実婚の形態をとることや、とりあえずは私の家でふたりが暮らすが、亡くなったママの部屋はそのままにしておくことや、いずれは介護付きマンションを購入して二人で住むつもりのことを話しました。
私たちが事実婚という形態をとって特に不自由を感じることもなく、お互いの預貯金などにも触れることなく、私たちのペースで5年が過ぎました。
当時あんなに私が彼女と一緒に暮らすことを嫌っていた娘たちも、5年のうちに相次いで結婚し、孫もひとりずつ生まれました。
里帰りと称して、連休には孫を連れてやってくるようになりました。
「ねえ佳代さん、今度は佳代さんの娘さん一家もお呼びして、みんなでお庭で焼き肉パーティーをしましょうよ」
私が「もうそろそろこの家を処分して、介護付きマンションに引っ越そうかと思っているんだけど」というと、長女はこう言ったのです。
「この家とこの広いお庭は私たちチームの砦よ」
「パパと佳代さんと、佳代さんの娘さん一家と、私たち姉妹が全員集まれるところはここしかないのよ。お願いだからもう少しここに住んでいてほしい」
娘たちは私たちが籍を入れていないので「お母さん」とは呼ばず「佳代さん」と呼んでいました。
また、家族といった呼び方でなくチームと呼んでいました。
これは事実婚のメリットとだったと思います。
事実婚のデメリット
事実婚は、メリットばかりではありません。
この5年間の間に、私は胆石で入院する羽目に合いましたが、入院や手術の際の同意書へのサインが事実婚のパートナーのサインでは、受け入れてもらえなかったことです。
事実婚のデメリットは、代理手続きが簡単にできないことや代理手続きができても、委任状が必要など手間がかかることです。
これから年齢を重ねると、入院や手術など緊急事態はいつ起きるかわかりません。
夫婦間で遺産の相続や生命保険の受け取りができないことだけがデメリットと思っていたのですが、籍が入っていないことで細かな制約があることがわかりました。
- 入籍せずに事実上の結婚生活を送るシニア世代のカップルが増加。
- 生命保険は、原則として事実婚の相手を受取人に指定することはできません。
- また、資産も遺言書を作成しないかぎり、パートナーに遺すことはできません。
- 財産問題をクリアにしておく必要がある。
- 事実婚という形態で暮らし始めるのも楽しいもの。
- 周囲の理解は、あきらめずに伝えることで。
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