鬱病(鬱病)はもはや世代を超えた現代病になったといっても過言ではないでしょう。心の病の代表格として、そして心身両面に大きな影響を及ぼす病気として大きな問題となっています。
まだはっきりとしたメカニズムが解明されておらず、治療はおろか正確な診断さえも難しいこと、中年期に起こる鬱病はとくに心身にさまざまな問題を起こすことなど厄介な面も少なくありません。
50代の鬱病の原因は?
残念ながら鬱病そのものの原因がまだはっきりとした形では解明されていません。ですからどうして起こるのか、原因についてもわからない部分が多いのです。
発症してしまった患者ひとりひとりにそれぞれの原因があると言ってもよいでしょう。ただ精神面の問題が深く関わっているのは間違いなく、50代ならではの事情がそこに加わることで発症リスクが高まることは十分に予想できます。
精神面の問題の中でもとくに原因として指摘されることが多いのがストレスです。緊張や不安にさらされる生活を送っていることでストレスが蓄積し、それが後述する精神状態を左右する神経伝達物質の働きに影響を及ぼすことで鬱病が発症するというのです。
50代の場合、今現在の不安・不満に加えて将来の不安が大きなストレスになる傾向が見られます。10年後、さらには定年退職後に自分はどうなっているのか?安心して老後を過ごすことができるのか?そんな不安がかなり現実的になる時期でもあります。
さらに心身の衰えが気になり始める時期でもあり、老いと向き合う辛さから無気力状態に陥ってしまうことも少なくありません。
さらには人生を振り返る機会も多くなり、「自分の人生はこの程度だったのか」「こんなはずじゃなかった」と大きな無力感・脱力感に襲われてしまうことも少なくありません。
もうひとつ、人間関係の問題も50代の鬱病の遠因として考えられます。夫婦関係は上手く行っているでしょうか?親子関係は?職場に自分の居場所はあるでしょうか?
新しい友人を作るのが難しい時期、家族間の関係を築き直すのも難しい時期、こうした悩みや不満がストレスをもたらし、鬱病のリスクを高めている可能性もありうるのです。
女性の場合は更年期障害によって鬱病が引き起こされる可能性も指摘されていますが、近年では男性の更年期障害も鬱病とか変わっているのではないかとの意見も出ています。
女性の場合は女性ホルモンのエストロゲン、男性の場合は男性ホルモンのテストステロンの分泌量が減少することで自律神経、さらには心身のバランスがうまくとれなくなり、感情のコントロールが難しくなってしまうのです。
自分でも驚くほどどうでもいいことに感情を動かされてしまう、信じられないことに怒りを爆発させてしまう、そんな環境が鬱病のきっかけになってしまいかねないのです。
このように50代の鬱病はその人が置かれている境遇に加えて体の衰えと変化が原因として潜んでいる可能性があるだけに厄介な部分があります。周囲のケアはもちろん、本人のストレスコントロール、精神面のケアが重要になってくるでしょう。
鬱病のメカニズムは?
残念ながら鬱病の直接の原因はまだ明らかになっていません。ただ脳内の神経伝達物質が深く関わっているのではないかとの意見が有力になっています。
人間の脳内では視覚や聴覚で得た情報を伝達する神経伝達物質が活発な活動を行っています。セロトニンやドーパミンという名前をどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?これらはすべて神経伝達物質の種類です。
動物を対象とした実験において抗うつ剤を投与したところ、セロトニンとノルアドレナリンが増加する効果が見られました。つまり鬱病になるとこれらの神経伝達物質が不足していることが予想されたのです。セロトニンは幸福感をもたらす神経伝達物質であり、鬱病になると楽しいことを経験しても幸福感を味わいにくくなってしまいます。
ですから、後述するように、治療においてはこれらの神経伝達物質を増やす効果を持つ抗うつ剤などの薬剤の投与が行われています。
ただ先ほど原因のところで触れたように体の衰えや健康状態の変化なども鬱病の原因になることが指摘されるようになり、この神経伝達物質によるメカニズム(モノアミン仮説)だけでは充分な説明にはなっていないとされるようになっています。
鬱病のメカニズムの研究についてはまだまだわかっていないことが多く、これから本格化する状況といえるのかもしれません。
鬱病の人口は?
年々増加していると言われる鬱病、実際に医療機関に受診、または治療をうける人の数も急増しています。
1993年のデータでは患者数が13万3000人だったのが2014年には72万9000人と急激な勢いで増えており、もはや200人に1人くらいの割合で鬱病のリスクを抱えている状態となっています。
さらに厚生労働省は躁鬱病も含む広い意味での鬱病の患者数が2004年に100万人を突破したことを発表しています。あと数年もすれば100人に1人が発症する病気になるのでしょう。
これだけ急増している背景にはストレス社会、「息苦しい社会」と言われる現代社会の中で鬱病の発症している人が増えているという面と、この病気への関心が高まり、治療や相談を受け入れる場所が増えたことで潜在的な患者が露わになった面の両方が考えられています。
つまり昔から鬱病患者は多くいたけれども、治療できる環境がなかったので表面に出ていなかったというわけです。ただ現代社会が鬱病を発症しやすい環境にあるのは間違いないでしょう。
なお男女比では男性4:女性6と女性が多くなっていますが、これも男性の方が医療機関に相談する人が少ないからではないか、鬱病を周囲に知られると仕事などの面で不利になるから黙っているからではないか、という意見もあり、なかなか実態が見えてこない面もあります。
鬱病とEDの関係
50代の男性にとって注意したいのが鬱病とEDの関係です。1990年代の研究ですが、ED患者は非ED患者に比べて鬱病の有病率が2.6倍も高いという報告があります。つまり鬱病の人はEDになりやすいのです。
無気力な状態では性欲がなかなかわかないのは誰でも容易に想像がつきますよね?鬱病はつねにそんな抑うつ状態になっているわけですから、性欲減退の症状が現れるも当然なのかもしれません。
ですから夫婦間でセックスレスの状態になっている方、いざというときになかなか性欲が高まらない、勃起状態が維持できないという方、もしかしたら鬱病を抱えてしまっているのかもしれません。体力だけでなく精神面の不調も疑ってみましょう。
医療機関における鬱病の治療法は?
医療機関では具体的にどのような治療法が導入されているのか?
各医療機関ごとに、さらには意思ごとに異なるというのが現状です。大きく分けると薬物療法と精神療法の2種類が現場で導入されており、両方をうまく組み合わせながら症状の緩和と根治の両方が目指されています。
薬物療法では先程あげた神経伝達物質の変調を整えるための抗うつ剤がしばしば使用されています。とくによく使用されているのがセロトニンの量を増やすことでうつ状態の改善が期待できる「SRRI(洗濯的セロトニン再取りこみ阻害薬)」が有名です。
ほかにはセロトニンとノルアドレナリンの療法を増やす「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」なども広く用いられています。
さらにこうした薬剤の効果を高めるために別の薬を併用する増強療法が行われることもあります。否定形型抗精神病薬などの薬と一緒に使用するより高い効果が期待できるのです。
一方、鬱病の原因となる精神面の問題を解消するための精神療法(心理的治療)も行われています。認知行動療法がよく知られていますが、まず不安や緊張、無力感といったネガティブな思考を避けるような思考パターンの修正を目指す取り組みです。
地道な取り組みが必要で時間がかかりますが、うまく行けば鬱病を根本から改善できる方法として注目されています。しかしこれをうまくできる専門家がまだまだ少ないという問題もあります。今後の研究の進歩が期待されている治療法でもあります。
こうした治療法をうまく取り入れ、うつの症状を緩和するだけでなく根本からの治療を目指していけるかどうか。
ただ、薬だけではなく、ココロにきちんと向き合うことが必要になってきます。
カウンセリングの重要性
ある程度医療機関で処方された薬を服用することで改善はされてくると思います。しかしココロの回復には人の温かい手が必要になってきます。
人の話を聞き、寄り添ってくれることで、ココロが支えられ、少しずつ回復してくるものです。生活サイクルを整えつつ、カウンセリングを受けることで次第に元気を取り戻すこともできます。
自分にあったカウンセラーを選ぶことも大事ですので、年代や性別も含めて自分にあったカウンセラーを探してみてください。
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ご自分の心の声に忠実でいいのです。
そして、ゆっくりと心の声に耳を傾けましょう。