男性だけがもつ前立腺。ここに発症したがんが前立せんがんです。
ですから男性特有の病気なのですが、部位が部位だけあってあまり表立って話題になることが少ない傾向も見られます。しかし現代ではこのがんが急激といってもいいほどの勢いで増えており、将来的にはがんの患者数のトップに立つのではないかと言われています。
それだけに無視できない病気と言えるでしょう。
50代の前立せんがんはどうしてなるの?
まず知っておきたいのが厚生労働省によるデータです。50歳以上の男性のじつに300人に一人がこのがんにかかっていると言います。がんの一種として考えれるとこれは驚くべき状況と言えるでしょう。50代の男性にとっては決して他人事ではなく、注意しなければ病気と考えた方がよいわけです。
ではどうしてこれほどの割合で発症するのか?じつは詳しい理由についてはまだ良くわかっていません。人口の部分で少し詳しく書きますが、発症例が先進国に多く発展途上国に少ないこと、日本では1990年代に入ってから急激に発症者数を増やしていることが食生活との関係が指摘されています。
具体的には「食の欧米化」とも呼ばれる高脂肪・高タンパク・高カロリーの食生活が原因として関与しているのではないかと考えられています。
また遺伝との関係も指摘されており、父親、兄弟に前立せんがんの患者が1人いる場合には発症リスクが2倍、2人いる場合には5~11倍にまで上昇することが研究によって明らかになっています。
そして最大のポイントとも言えるのが年齢との関係。50代の男性の300人に1人が発症すると書きましたが、さらに年齢を重ねて65歳以上になるとさらに発症リスクが上昇すると言われており、加齢が大きな原因となっていることがうかがえます。ですから50代で発症していない人も60代、70代に入って発症するリスクが増大することを意識したうえで食生活などに注意する必要があるわけですね。
さらにもうひとつ指摘しておきたいのが性生活です。男性ホルモンの分泌量との関連が指摘されています。簡単に言えば活発な性生活を送っている人、精力旺盛な人ほど発症リスクが高いと考えられているのです。なお、極端な症例ですが、思春期の前に去勢された場合には前立腺がんが発症しないことがわかっています。
さらにこれもまだ直接の因果関係ははっきりと解明されていませんが、性交渉をはじめた年齢が若く、若い頃にたくさんのセックスをしてきた人ほど発症リスクが高くなる考えられています。この点はなかなかデータを共有しづらい部分もあるのでなんとも言えない面もあるのですが、思い当たる人は気をつけたいところです。
前立せんがんのメカニズムは?
このようにそもそも直接の原因はよくわかっていないのですが、メカニズムそのものははっきりしています。前立腺は尿道の周囲を取り囲む形で存在し、精液に含まれている前立腺液を分泌する役割を担っています。この前立腺を構成している細胞が以上をきたしたうえで無秩序にどんどん自己増殖してしまうようになった状態を前立腺がんと呼んでいます。
なお、混同されやすい病気に前立腺が肥大化する前立腺肥大症があります。こちらも50代以降になると症例が増えはじめる病気ですが、両者の間には大きな差があります。
前立せんがんは前立腺の外側の組織に異常をきたす病気なのに対して前立腺肥大症は内側の組織が肥大化する病気です。ですから前立腺肥大症になったからといってがんに進行してしまう、といったことはありません。
前立腺肥大症は排尿困難をもたらすなど生活に支障をきたさない限りはとくに治療を行わずに観察を続けることが多いのが特徴ですが、治療をしないからといってがんになってしまう心配はないのでこの点は正しい知識を覚えておくとよいでしょう。
一方で注意したいのが転移です。症状が進行すると周囲のリンパ節や骨に転移してしまうことがあり、治療がとても厄介になってしまいます。さらに肺や肝臓などの臓器に転移することもあり、命にかかることもあります。
初期症状がほとんど見られないうえにがんにしては症状の進行が非常にゆっくりなため、気づかれないことが多いのも特徴です。極端な話としては高齢で発症し、健康に進行な影響を及ぼすまで進行する前に寿命がきて亡くなるというケースもあるのです。実際にほかの病気で死亡した方を調べた結果前立腺がんが見つかることもあります。
前立腺がんの人口は?増えている現状
このようにがんの中ではそれほど深刻ではないとも言えるわけですが、一方で患者数が急増している現状もあります。これは世界的に見られるものですが、日本国内でも例外ではありません。
厚生労働省のデータによる1975年の年間発症者は約1000人ほど。これが1993年になると4000人を超え、2002年には8000人を超えています。さらに予測によると2020年の患者数は1995年時点の6倍、年間発症者と継続的な治療を受けている人を合わせて約8万人近くにまで達すると考えられています。増加率でみると他のがんと比較しても断然のトップ、罹患率でも肺がんに次ぐ第2位となっています。
この加速的に増えている現状にはやはり先ほども指摘した食生活の変化が深く関わっていると考えられています。加えて高齢化の影響で高齢になってから発症するケースが増えているのも指摘できるでしょう。
前立せんがんの病院での治療法は?
ではどんな治療法があるのか?先ほどセックスとの関係について触れましたが、まず薬剤によって男性ホルモン(テストステロン)の分泌を抑える内分泌療法が挙げられます。近年ではホルモン剤の開発が進んだことで副作用を抑えつつこの療法ができるようになっています。使用する薬剤には精巣での男性ホルモンの分泌を抑える「LH-RHアゴニスト」という注射と男性ホルモンの分泌ではなく作用を抑えるテストステロンブロッカーと呼ばれる内服薬があります。
転移していない場合には外科的な手術で前立腺を摘出する「根治的前立腺摘出術」という治療が行われることもあります。入院期間も短く副作用の負担も少ない治療として注目されていますが、高度な技術が必要なこともあって対応できる医療機関がまだまだ少ないのが現状です。
前立腺を摘出する際にこの組織のすぐ近くにある勃起神経や血管を傷つけてしまうことでED(勃起不全)の副作用をもたらすリスクもあり、まだまだ精力旺盛な50代の男性にとってはちょっと気になる部分でもあります。
そしてがん治療の分野で広く用いられるようになっている放射線治療もこのがんの治療に用いられることがあります。前立腺がんの場合、前立腺の近くにある直腸が放射線に弱いので慎重な照射と治療が求められます。そのため、まず先述した薬剤による内分泌両方を行い、がんの範囲を小さくしたうえで放射線を照射する二段階での治療もよく行われています。がんの放射線治療というと副作用や後遺症が気になる人も多いかもしれませんが、このがんの場合は他の臓器への影響も少なく比較的安全と言えます。
早期の段階で治療を開始すれば内分泌療法だけでも十分治療できるためそれほど怖い病気ではありません。しかし症状が見られず、しかも進行もゆっくりとしているためなかなか早期の段階で気づくのが難しく、気がついた時にはかなり進行している、または他の部位に転移してしまったというケースも見られます。
自覚症状としては排尿困難や排尿時に痛みが伴う、尿や精液に血液が混ざるといったものが挙げられます。もしこうした症状が見られた場合には前立腺肥大症の可能性も踏まえつつ医療機関で検査を受けるようにしましょう。
部位が部位なので奥さんにも言いにくい面もありますが、症例が増えていることかも「恥ずかしい」で済む病気ではなくなりつつあります。とくに性欲が旺盛な方、これからも充実した性生活を送り続けたい方は頭の片隅に入れたうえで気をつけたい病気でしょう。
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